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未登記は問題だらけ?

【コラム】不動産実務~相続未登記物件の売却~のイメージ

こんにちは。
㈱REGATEの金城です。

本日のコラムテーマ
不動産実務~相続未登記物件の売却~
です。

不動産売買の仲介をやっているとよく出くわす案件。
「相続未登記」の売却依頼です。
未登記というだけで売却ができないというわけではありません。

相続未登記は問題の入口に過ぎません。
入口で立ち止まったらいつまでも売却できません。

検索をしてこの記事にたどり着いた方は恐らく
「相続未登記」「不動産」「売却」
のワードでヒットしたのではないでしょうか?

相続未登記物件の売却を何度かお手伝いした時の事例を紹介することで
今困っている人の何かのヒントになればいいな~という内容になります。


法律的な問題も絡むので最終的には司法書士の先生とかにご相談する必要が出てきますので
この記事の内容はあくまでも参考程度に捉えてください。

※今回の記事は長めです(笑)事例を紹介すると超大作になっちゃいました。
約10分で読める内容です。
お時間があるときに読んでみて下さい。

◆相続未登記の原因と登記の勘違い

相続未登記は当事者はもちろん困るのですが不動産業者泣かせでもあります。
登記名義人の戸籍を遡って全員の合意を得る作業は困難を極めます。。。
一人でも変な人が出てきたら作業が全部水の泡になりますし・・・

特に沖縄県は太平洋戦争の戦火に襲われ、米軍に強制収容されたり、戦争のどさくさで海外への疎開など所有権の移転登記を行わずにそのまま放置した土地や建物が多いんです。
余談ですが戦時中に登記簿などが焼けてしまい未だに所有者不明として所有者を探している土地も多数あります。
沖縄県の所有者不明地について

相続登記を行わない理由は様々ですが、基本的に子供や孫が迷惑を被っています。
先の理由のように戦争などでやむをえない場合は仕方ないのかとも思いますが故意に登記をしない人も一定数います。

「相続登記をしたら税金の請求が来る」
「未登記の建物を登記したら固定資産税が請求される」

という勘違いが原因となっていることが多いですね。

ちなみに相続登記をしないことで困ることの方が多いですし、建物は登記していなくても固定資産税が発生します。
故意に登記をしない場合は10万円以下の過料に処される場合もあるので注意が必要です。

また、相続登記の時に遺産分割協議が上手くいかず兄弟間で遺産争いが発生してしまうケースも。。。
沖縄は家督相続の風習が未だに残っていて、長男とそれ以外の兄弟で争いが起きる事が多々あります。

遺産争いが発生してしまって兄弟が離縁してしまった場合などは
お子様やお孫さんまで巻き込んでの遺産争いに発展してしまう事もあります。

相続登記をしない/できない物件の共通点として

「うちの子供たちが相続で喧嘩をするはずがない」
「我が家は大した資産が無いから大丈夫」

と言って遺言書などを残さない親が亡くなった場合に揉めます。

【コラム】相続対策は期限付き?
↑相続対策については過去の記事をご参照ください。

不動産の相続は事前の準備が必要なので早めに用意してほしいと切に願います。

★登記をしなくても固定資産税はかかります
★お金が絡むとお子様は揉めます。
★遺言をしっかりと残してあげましょう

というか今困っている人が読んでいるんだからこのアドバイスはあまり意味が無いですね(笑)

◆実際にあった相続未登記案件

【コラム】不動産実務~相続未登記物件の売却~のイメージ

私が対応した相続未登記案件で一番大変だったケースをご紹介。
かなりレアケースですが何かしら参考になればいいな。。。

概要
土地の売却依頼(建物解体前提)

建物に賃借人が居住中

依頼者はAさんと叔父のBさん

物件の名義人はAの祖母C

Cは前妻の後に嫁いできてもともとはこの土地の地縁者ではないし、夫婦間で子供は生まれなかった。

Cの子供は全員連れ子

ハイ。この時点でこんがらがりますね(笑)
略図を作ったので上記概要図を参照ください。
この図の関係者くらいなら相続登記は簡単に終わりますし、問題点はあまりありません。
今回のケースは相続登記の相談から売却に至るまでの壮大なストーリーです(笑)

相続登記の相談を受けてから
売却調査のために近隣の聞き込みも行っているとに浮き彫りになってきた問題点がこちら

1.権利者のEが20年以上連絡が取れなくなっている。親戚の話では横浜で生活保護を受けている?

2.土地上の建物の賃借人が生活保護世帯の80代夫婦と50代の無職息子

3.登記名義人のCが嫁いできて地縁者でないので売却をすることに反対している親戚がいる

どれか一つでも解決できずにこけたら全てが水の泡。

こういう時はセオリーとして難易度の高い順に解決を目指します。
まずは依頼者さんに売却が成功する確率が低い事と全てのリスクをお話して全面的にご協力いただくことで話を進めることになりました。

以下は奮闘した内容を簡単にまとめています。

◆数々の困難と奇跡

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困難1.権利者のEが20年以上連絡が取れなくなっている。親戚の話では横浜で生活保護を受けている?

今回の案件の一番の山場です。
まずはこのEが見つからないと相続登記ができませんし、売却なんて更に無理。
万が一このEが内地で子供を作って死亡していたりしたら、見ず知らずの子供たちを相手に話を進めないといけなくなります。
子供が海外に居たりしたらもう絶望です・・・

最悪の場合は相続人不存在の家庭裁判所の許可を得て財産管理人を置いて・・・
海外に子供がいた場合は裁判所と現地の大使館に協力をしてもらって・・・
(※実際に海外にいる所有者の相続人の案件もやったことがあるんですがかなり時間を要した記憶があります。)
など色々なことを考えながら最悪の事態を想定し、まずはCとEがつながる戸籍謄本を取得。
幸いにもEの死亡届けは出ていないようだが生存しているかは不明。
Eに婚姻歴も無く子供もいないことが分かり少しだけ光明が見えてきました。

さて、Eに連絡を取る手段はないモノか?探偵?弁護士?
正直なところまだ成功確率が低い状態であまりお金をかけたくはありません。

そこで確率的には低そうですが手紙を書くというアナログな作戦で攻めてみようと思いました。

Eが最後に除籍されたときの住所が横浜のとある住所と変な屋号。
調べてみると何やらよくわからないペーパーカンパニー。。。
会社名では電話番号も見つかりませんし、会社謄本も出てきません。

ダメもとでこの住所に手紙を書く事に。。。
不動産の遺産分割で困っている旨の内容と連絡をくださいという簡単な手紙。。。
協力してくれたら持ち分に応じた遺産を分割する旨もしたため投函。

他にも手段が無いか考えながら探偵や弁護士などを検索していると・・・
奇跡が起きました!

なんと生存しているEから公衆電話で返事があって
「不動産の売却に協力する。遺産も要らない」
とのこと。
意気揚々と遺産分割協議書と遺産放棄の合意書を送付したところまた音信不通に。。。

二週間も音信不通になってしまい不安になって再度電話をくださいと手紙を送ると律義に電話が返ってきました(笑)

よくよく聞くとこのペーパーカンパニーはホームレスなどの生活保護受給者を集めて一つの物件に詰め込んで生活させて、
毎月の生活保護費をピンハネしている悪徳業者とのこと、勿論携帯電話なども無く自由に電話もできないとのこと。

親族からの手紙などを無視して返事をしないと捜索願を出されるので、やむなく小銭を渡されて公衆電話で折り返すことができるとのこと。
その際も外出願を提出して毎回許可を取らないといけないという事も教えてもらいました。
幸いにも公衆電話での会話は傍受されていないという事でしたが。。。。

そこで遺産分割協議書の返送ができない理由を探ってみると問題が出てきました。。。

Eはペーパーカンパニーから抜けるつもりが無いし、保護を打ち切られると生活ができないので遺産放棄をしたい。←ここまでは問題ありません。

問題点は遺産分割協議書に添付する印鑑証明書を発行するために役所に行く外出許可が出ない。。。
印鑑証明書を作るための身分証明書や生活保護受給者証もペーパーカンパニーが保管しているとのこと。。。

ここで万事休すか。。。と諦めそうになったところ
依頼者のAさんが「私が横浜の現地に行って面会してきます」とのこと。

電話などを律義に返させる業者なので親族の面会を断ることはしないという読みでした。
また、生活保護の需給は本人が受給者証を持って役所に行くのが通例なので予め需給日を確認し、役所内でEと落ち合いそのまま印鑑登録をさせ証明書を取得。

その印鑑で遺産分割協議書に署名押印させる。というやや強引なミッション。
需給の窓口ではペーパーカンパニーの輩もうろうろ出来ないだろうというこっち都合の希望的観測(笑)
事前に公衆電話で折り返しが来たときにこの作戦をEに伝えてから当日はぶっつけ本番。

ダメもとで決行してみたところなんとこの作戦が功を奏しどうにかEの遺産放棄の分割協議書を手に入れることができました。

Aさんは生活保護受給者の窓口付近で待機していたところ叔父さんの顔はすぐにわかり、
ペーパーカンパニーの輩も市役所の入り口で待機しているので中までは来なかったとのこと。
また、私の提案で念のためCの戸籍からEとAさんが親族とわかるように原本を持っていかせたことと、Aさんの印鑑証明も持たせたのがビンゴだったとのこと。
役所の人はすぐに本人確認で印鑑証明書を求めますからね(笑)

そんなこんなでいくつもの奇跡が重なって無事に書類が手元に用意できました。

今思うとこのペーパーカンパニーは遺産分割協議書に協力して放棄させない方が儲かったんでは?と疑問が出てきます。
沖縄の田舎の土地の持ち分なんて大したことがないという判断だったのかもしれませんね。
小さな額の遺産よりも定期的に需給金をピンハネした方が得と考えたんでしょう。
実際にEの相続持ち分は1000万円くらいの大金になる予定でしたからこちら側が得したのは言うまでもありません(笑)


困難2. 80代夫婦と50代の無職息子の退去と生活保護受給

大きな問題が好転したことで次なる困難。

まず土地を売るためには建物を解体する必要があります。
そのためにはこの80代夫婦と50代の無職息子に退去してもらわないといけません。

このご家族が賃料を滞納してくれていたら法的にも退去させやすくなるんですが、毎月定期的にBに賃料を支払っている様子。
真正面から退去の懇願をするという戦法で夜討ち朝駆けを三日繰り返し、何度も訪問をして入居者と会うことができました。

するとあっさりと退去はしてもいいという回答。
建物の老朽化が激しいので少し困っていたようです。

でもここからが問題。
80代夫婦と無職で障害のある50代息子を受け入れてくれる物件が無い。。。
引っ越ししようにも普通に入居審査に落ちます。

また、引っ越し先の希望も親の足腰が悪いので1階を希望。
高齢者世帯が多いエリアなので1階が人気で空きが少ないんです・・・

更に現住居から5キロ圏内でできればRC造の新しめの新居を探してほしい。。。

退去費用として150万円の立ち退き費用を請求。。。

めまいがするかと思うくらい厳しい条件です(泣)

まず取り掛かったのが現在は老夫婦の年金のみで生活をしているので、息子の障害者登録と生活保護受給を提案。
「生活保護なんてみっともない!」
と反対するお母さんを説得し一緒に市役所に行きケースワーカーと面談、、、

よく覚えていませんが意外にスムーズに生活保護の受給要件を満たすことができました。

するとここからまた神様が降臨しました。

・売主の快諾で退去費用は手渡しで領収無しでOK(現金150万円)。
※この行為はもしかしたら生活保護法とかに抵触するかもしれませんが見なかったことにして下さい(笑)

・生活保護受給者となったことでアパートの審査が通って即契約。

・1階、RC造、生活保護受け入れ可能のアパートはここしかありませんでした。

これでどうにか困難1.2.は解決しましたが150万円の退去費用を支払ったのでもう引けません。。。


さて、次は....

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困難3.登記名義人のCが嫁いできて地縁者でないので売却をすることに反対している親戚がいる

ここまでの壮大な作戦が成功したことで後は反対する親戚との協議だけ。
実際に権利者でも無いので無視することもできたんですが、購入者に迷惑が掛からないようにと話し合いをする方向でA.Bと合意していました。

1.2.の困難を乗り越えていい感じの追い風が吹いていたのですが、最後の最後にコケるというのはよくある話。
最後に気を引き締めて交渉に臨もうと新たに決意しました。

昔の風習が色濃く残る沖縄では家督相続が根強く長男が全ての資産を引き継ぐことが多いです、
長男の家に男の子ができない場合などはその兄弟の男系列が養子となって仏壇と資産を引き継ぐということが通例でした。

今回のケースでは名義人の祖母Cが旦那と不倫関係にあったらしく、子供ができなかった前妻と離婚後に即入籍。
妾が血のつながらない子を連れて嫁に来たという事で親戚の猛反対に合いながらも夫婦生活を営んでいたそうです。
入籍後しばらくしてから旦那が死亡。
全資産が配偶者であったCに渡ったというケース。

そのせいで周りに残っている親戚が「土地を返せ!屋敷を返せ!」と大暴れ。
Cはその声に耐えながらも子供たちを守っていたがやむなく死亡。
残された子供たちは早いうちからこの土地を離れることになり、この物件の相続未登記はここから数十年放置されることになりました。
いつどのタイミングで先の80代夫婦の入居者が住み着いたかは未だに不明です(笑)
住み始めてから40年は経つと言っていたので、
Cが結婚して旦那が無くなって更にCが死亡するまでの期間は案外短期間だったのかもしれません。

長年膠着していた相続未登記。。。
ここで土地を売ってお金に変えようと動き出すことで、残された親戚がまた暴れだすかもしれないという危惧もありました。
無視して売却ができても残された親戚が新所有者に嫌がらせをするような遺恨を残したくないというのが仲介会社としての本音です。

AとBと相談を重ね、この親戚にもいくらかのお金を渡すことでどうにかならないか?と試行錯誤をしていた時。。。
「返せ!」と主張しているご老人は最近亡くなったというお話を聞きました。
この方の親族も全員亡くなっていて、もう反対をする人が居なくなったという事も分かりました。

人が亡くなったので奇跡だと喜ぶのは不謹慎かもしれませんがタイミングが良すぎてびっくりでしたね。
なんだかんだでいくつもの困難は無事に解決し見事にに売却ができました。

今思い返しても神懸った奇跡の連続でしたね(笑)

◆相続未登記はただの入り口

さて、今回の件は奇跡的な事象が重なって無事に売却に至ったわけですが

1.の賃借人が出ていかない(退去先が見つからない)
2.行方不明者Eと連絡ができない(生存しているが分割協議書が完成しない)
3.遠い親戚が邪魔をしてくる(売却後も新所有者に嫌がらせをることも・・・)

ふつうはこのどれかが引っ掛かりますし、こんなにスムーズに事が進む確率は低いです。
というかどれか一つだけが問題だとしても解決するのは基本的に困難です。

この案件は偶然にも様々なタイミングが重なって売却にたどり着けましたが、
相続未登記の案件は登記をすればいいだけではなく今回のケースのように動きだすことで見えてくる問題点が多数あります。

相続未登記の不動産は何かしらの理由で登記がされていないので問題解決に取り組むまで問題が出てこない(見えてこない)というケースが多いんです。
一つ解決してもまた一つ問題が埋まっていた、、、という感じで常に手探り状態です。

あなたがお持ちの相続未登記の不動産、まずは解決できるか調べてみてはいかがでしょうか?

基本的に不動産屋さんが
「これを解決しないと無理、そのままじゃ売れません」
と突き返すケースの場合、不動産屋さんがめんどくさがっているだけという事がほとんどです。
本当に問題解決ができずに売買が停滞するケースも多いのですが。。。

いくつかの不動産屋さんをたらいまわしにされてしまった方、
解決できる保証はありませんが一度弊社にご相談ください。

私は沖縄のトートーメーや相続、遺産分割なども得意としています。
多くの沖縄の不動産は難しい問題を抱えています。
不動産の売却の成否は担当者の経験に比例します。

私が色々な解決策を提案しますのでお気軽にご相談ください。
今度は借地の件でも掘り下げてみようかな。

これからも沖縄の不動産あるあるや取引事例などを取り上げていきますので応援よろしくお願い致します。

では~


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不動産売買市況速報
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