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Column

コラム

◆不動産実務

【コラム】不動産仲介実務~躁鬱病のお客様~のイメージ

こんにちは。
㈱REGATEの金城です。

本日のコラムテーマ
不動産仲介実務~躁鬱病のお客様~
です。

久しぶりに不動産仲介実務の実況報告をまとめます。

不動産という仕事をしていると大なり小なり様々なトラブルや困ったお客様と出くわします。
今回の内容は躁鬱病のお客さまとやり取りした半年間の軌跡をご紹介。

不動産って多額のお金が動くせいか精神的に弱るお客様もいるんです。
親戚付き合い、離婚、転勤、リストラ・・・
頭を悩ませた末に不動産の売却という方も多いという実情。

この記事を読んでくれた同業者さん、同業ではないけど接客をするお仕事の人達に少しでもケーススタディになればいいと思います。

躁鬱病の方とのやり取りを終えて、反省点や私が至らなかった点も含めて書いてみます。
参考になるか分かりませんが読み物として娯楽の気分でお読みいただければと思います(笑)

※約5分で読めます。

◆台風の最中のお問い合わせ


大型の台風が接近中の日。。。

夕方から暴風域に入るので、午前中から様々な対策に追われている一日でした。
昼前には全物件の台風対策を終え、やることが無くなった部下に順次帰宅を命じていました。
最後の点検をして自身も帰ろうかと支度をしていると・・・

~ピロ~ン♪~
一件の査定依頼メールが。。。


今から暴風域。
外は雨風が強くなってきている。
役所も閉まっている。
一括査定なので他社にも同じ依頼がいっている。
「明日対応しようかな」
と頭をよぎりましたが、すぐにチャンスだと切り替えることに。

即電をして
「今から行きます!お話を聞かせてください!」
とアポ取り。

他社も同僚も
「こんな台風前の状況で査定できないし」
と思い込んでいたはず。

なら今から会えば私一人でお客様の懐に入り込むチャンスです。

即座にネット謄本を取得し、役所や県の都市計画課のHPで都市計画情報を収集。
30分で机上査定書を作り上げご自宅へ。
(このころはフットワーク重視で原付バイクで移動していました)

招かれたご自宅は優に億を超えるであろう大豪邸。
駐車場には高級車がずらり。
依頼者は一代で会社を築き上げた社長。

風雨も強まってきているので挨拶も早々にリビングへ。

「こんな天気の中、すぐに対応してくれてありがとう」
「しかも短時間でここまで細かい査定書を作ってくれるなんて」
「他社も電話が来たけど台風明けの時間を指定してくるばかりだったよ」

全て私の目論見が当たり第一印象はガッチリ好感触♪
査定内容の金額も本人が予想していたのと同価格。
あれよあれよと売却をするというお話に進みました。

ずっと気になっていたのが
一代で大きな資産を築き上げた社長にしてはしょぼくれた印象。。。
声も覇気が無く、目もうつろ。。。
なんというか大きな会社の社長が持つ特有のバイタリティーが感じられないんです。。。

気になりながらも不動産のヒアリングを終えて、社長の身の上話を聞かせてもらう事に。
(社長さんって武勇伝語るのが大好きなので、私は相手が社長とわかると絶対に武勇伝を聞くことにしています。これで大げさに褒めるだけで一気に気に入ってもらえます♪)

小一時間ほど生い立ちから家族構成、独立して会社を大きくした経緯などを聞かせてもらって
「うん、うん」
「へ~すごい!」
「さすがです!」
「それでどうしたんですか??」
とキャバ嬢の教科書みたいに相手が喋りやすいような相槌で応酬しました。

だんだんと気をよくした社長は本音を語りはじめます。

「実は今病院に通っていて“鬱病”と診断された」
「従業員に裏切られて会社が大きく傾いた」
「これ以上続けるよりも資産整理をしたい」

これで覇気が無くなっているのも、社長特有のオーラが無い理由も理解できました。

気が付くと、リビングに居座ってから3時間くらいが経過していました。
がっしりとしたコンクリート造りの豪邸でも外からの風雨の音を防ぎきれなくなっています。

流石にそろそろ帰らないと帰宅するのが危険な天気になってきている様子。
社長はまだまだ喋り足りない感じ・・・(笑)
そろそろ帰らないと。。。という仕草を見せたところ・・・
気が付きません。。。チクチョー!(笑)

・・・時間が経ち、ようやく外の様子に気が付いた社長が

「金城さん。今日はありがとう」
「金城さんみたいな人に不動産の相談ができてよかった」
「全部の資産をお任せします」

と、話を切り上げてくれました。
話の腰を折ってしまうと折角持ち上げた好印象も薄れますので、相手が気持ちよくしゃべっている間はずっと聞き役に徹するのがセオリーです。
作戦が功を奏して私の印象は最高潮のまま一回目の面談を終えることができました。

すぐさま翌日の専任媒介の契約のアポを取り付け暴風雨の中、原付バイクで帰路につきました。(笑)
※自殺行為です。絶対に辞めましょう

◆メンタルカウンセラー


翌日。
台風一過の晴天。

日中は台風後の復旧作業があるので早朝に出社。
みんなが出勤してくる前に専任媒介契約書を作成し、作業後にすぐに社長のもとに行ける準備を整えました。

復旧作業を終え、お昼過ぎの約束時間に社長のご自宅に再訪。
沖縄の人は慣れっこの光景ですが、台風後は枯れ葉や草木が色んな所にこびりついているんです。

社長がそれらをホースで流していて、私を確認するや否や手を止めようとしたので

「止めなくていいです!一緒に掃除をしましょう!」

と媒介契約の話は後回しにして家の外壁と車を洗う事、小一時間。
上機嫌になった社長は昨日話していた武勇伝をまた語りだします。。。

初めて聞いたように新鮮なリアクションを繰り返しながら、気持ちよく話せるように相槌を繰り返しました。

専任媒介の契約書に署名押印を貰えたのは再訪してから5時間後くらいかな。
外はすっかり夜になっていました。
別宅と会社のビルなんかも含めると数億円の媒介になるので、何時間も同じ話を聞かされたとしても笑顔を保てます。(笑)

今後の販売スケジュールなんかを確認してから帰宅する途中社長からの着信。
自宅の駐車場についてからすぐに折り返したところ

「今日はありがとう!金城さんに会えてほんとによかった!」
という謝辞を頂き話の流れからまさかの3回目の武勇伝に発展(笑)

自宅に着いたはいいものの、私の電話の声で寝たばかりの長女を起こしちゃまずいと思い、
玄関の前で武勇伝を聞くこと2時間。。。
ようやく気が済んでくれて電話を終えた時には23時を超えていました。

翌日、物件の販売準備を行っているとまた社長からの着信。
「また武勇伝になったらキツイな・・・」
と不安がよぎりましたが

「金城さん・・・もうだめだ。」
「何もかもがダメになった。俺は死んだ方がいいんだ」
「従業員も俺を裏切って当たり前だ・・・」
「こんなにひどい奴はこの世にいない方がいい・・・」

昨日までとは違って死にたいモード全開。
ローテンションの電話が1時間ほど続きます。。。

気を悪くしないように相槌を打ち、話を聞いているうちに気分を持ち直してくれたみたいで

「頑張る!こんなことで落ち込んでいられない!」

と元気になり4回目の武勇伝に突入・・・
とっさに別の来客が来たと言って電話を終わらせ作業に戻りました(笑)

数名の部下の案件も並行して進めているのでスケジュールはパツパツ。
その合間に社長のカウンセリングの長電話。。。躁の時と鬱の時の対応も慣れてきた私(笑)
土日昼夜を問わず着信。。。

約半年間、メンタルカウンセラーと不動産屋の中間管理職の二足の草鞋を履くことになりました。。。

◆違和感・・・

法人名義の資産の整理。
顧問税理士と打ち合わせ。
M&Aも視野に入れた不動産売却。。。

通常の不動産売買とは違って登場人物が多く、各方面との調整も多い案件です。
物件も億を超える価格なので買い手の条件なんかも精査が必要です。

通常の仲介の売買よりも各方面に気を使いながらの案件。

預かってから数カ月。。。
毎日のように時間を問わず躁の状態と鬱の状態を繰り広げながら数時間の電話。

そんな多忙な業務の中ようやく買い手の企業も決まり、税理士や司法書士などの段取りも済ませ
最終的には金融機関の融資書類の提出、というところまで話が進みました。

長い長い道のり。
売却の話も徐々に具体的になっていき社長も少しづつ容体がよくなっていく感じが分かります。

そんな中少し気になる事が出てきます。
鬱で落ちこんでいる時は今まで通り「死にたい」と繰り返すだけなんですが
躁になっている時に出てくる本心?本音?本性というべきでしょうか?
横暴で周りの人間に対する配慮が無い社長の本来の姿が見え隠れしてきたことです。

電話の口調、買い手さんとの応対態度、奔走する顧問税理士に対する横柄な態度。。。

当初に
「従業員に裏切られて・・・」
と言っていた事の本質は
「従業員が嫌になって逃げだして、お客さんも従業員に流れた」
という事だったんだと思います。
顧問税理士も去年別事務所から切り替えたばかりと言っていたし。。。

昔の社長の事は半年やり取りしているうちに周りの人から嫌というほど聞かされました。
正直、お客さんじゃなかったら絶対に距離を置きたくなるような人物です(笑)

鬱病がよくなっていくのと比例して徐々に昔の社長に戻っていく感じ。。。

一末の不安を抱えながらのM&Aの話と不動産売買。。。
買い手さんも社長の態度に不信感を募らせているのが分かります。


そんな中で融資銀行も決まり後は契約という段取りになった時
鬱の状態の社長からの着信。。。

そこで「やっぱり売らない」という答えが。。。

その理由が
「私はもう元気になったし、売る理由が無くなった」
「金城さんには悪いけど、そういう事だから周りに断ってくれ」

という内容。
その後はグダグダとマイナス思考の愚痴の話が一時間・・・

最終的に
「やっぱり売る」
という言葉が出てきましたが、

「この短時間で売る売らないの判断が変わるのはよくありません」
「一度この話はやめにしましょう」
と丁寧に断って電話を切りました。

この状態で話を進めてもいい事が無いことくらい分かります。
一度「売らない」と口に出した人はそのあと何べんも翻意する傾向にあります。
そのたびに金融機関や買主を振り回すこともザラです。

電話を切った後は関係各所に謝って、洗いざらいの事情をお話し、
社長の意向が落ち着くまでは話を進めないという事で納得してもらいました。

買い手側も
「実は途中から社長の発言や態度が気になっていて、話をやめようかと考えてた」

税理士も
「あの社長が別の税理士事務所から断られて、うちに来てからずっとこの調子。
そろそろ当事務所も顧問契約を解除しようと思っていました」

とのこと。

関係したほとんどの人が社長の本性に嫌気がさしていたのに
私が東走西奔しながら動いていたために話を無下にすることができなかったという事。。。

一生懸命に案件をまとめようとしていた私の姿勢が周りの人に迷惑をかける結末を生んでしまいました。

◆虚無感が残りました


その後、買い手さん側からも断られ、税理士からも解除の打診をされ
売買の話も頓挫して何も進まない状態になりました。

その後も社長からの着信は続きますが躁鬱の繰り返しで
「売りたい」「売らない」
のオンパレード・・・

そんな不毛なやり取りをしていた時。。。
事態は急変しました。

いつも通り電話に出るや否や
「お前は最低のやつだ!人のことバカにしやがって!」
「二度と電話をしてくるな!」
「今度会ったらぶっ殺してやる!覚悟しろ!」

最初はあっけに取られて相手の言葉に驚きました。
後に詳しい人に聞いたところ躁鬱病の末期に起きる現象で周りの協力者を敵視したり、
妄想の中で周囲から加害されているという被害妄想が暴走することがあるとのこと。

連日電話が来ることと、この案件に対して辟易していた私は冷静になり
「では、今後は連絡取りません。失礼しました」
と一言残して電話を切りました。

その後も何度か着信がありましたが出ていません。

M&A、法人名義の不動産の処分。
躁鬱病の患者さん。

不動産屋の営業マンとして新しい経験値を積み上げることができましたが
最後の最後に罵詈雑言を浴びせられて終わった案件。(笑)

何だったんでしょうね。
一切の達成感が無く虚無感だけが残る結末となりました。

面談当初の違和感で躁鬱と分かった時に、社長の奥さんとかを交えて売却の意思決定の協議に導いていたら違った結果になったのか?
別の第三者の意向があればそもそも売却の話にまで発展しなかったのか?
売却で走り出す前に病状を把握して、「病気を治してから再度相談しましょう!」というのが正解だったのか?
今となっては反省点がてんこ盛りの案件でした。

これ以降も躁鬱病のお客様とやり取りすることがありますが
この社長ほどひどい状態のお客様が出てこないのである意味“私を成長させてくれた”んでしょうね(笑)


毎回毎回違った案件の不動産売買仲介。
今回のようなスペシャルな案件を経験すると、次回以降に躓きにくくなるんです。

日々、関わってくれるお客様や関係各所に敬意を持ちながら業務に邁進します。

今回のケースは稀ではありますが、不動産をやっていると大なり小なりケーススタディとして役立つかも?
これを読んだ人が少しでもステップアップできたらいいなと思います。

では~

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