こんにちは!
(株)REGATEの金城です。
今日は少し不動産の話しから離れますが、沖縄に住む私たちにとって大事な内容だと思いますので、長文になりますがおつきあいください。
去った週末に沖縄県知事選挙が終わりました。
結果は古謝氏の圧勝。
沖縄の歴史から見てもこの選挙結果はかなり大きな転換点だと思います。
そして今回の結果を、単純に「沖縄が保守化した」「左派が負けた」とだけ捉えるのは、少しもったいない気がします。
むしろ私が注目したいのは、
「沖縄県政を担う世代そのものが変わった」
という部分です。
今回の古謝玄太氏は42歳。1972年の本土復帰後に生まれた、沖縄県政史上初の「復帰後世代」の知事です。保守系知事としても12年ぶりになります。
そして得票は423,124票。
これは2018年に玉城デニー氏が記録した396,632票を超える、復帰後最多の得票数です。玉城氏は276,060票で、実に147,064票差。投票率も61.57%まで上がりました。
しかも午後8時の投票締め切りと同時に当確が出る、いわゆる「ゼロ打ち」。
これは単なる「僅差で政権交代」ではありません。
沖縄県民の中で、かなり大きな地殻変動が起きた選挙だった
と私は見ます。
ここが今回、一番面白いところだと思っています。
これまでの沖縄県政を振り返ると、復帰後の歴代知事には、当然ながら「沖縄が米軍統治下にあった時代」と直接的な接点を持つ世代が含まれていました。
屋良朝苗、平良幸市、西銘順治、大田昌秀、稲嶺惠一、仲井眞弘多、翁長雄志、そして玉城デニー。
それぞれ政治的な立場は違いますが、沖縄戦、米軍統治、本土復帰という歴史が、本人の人生や家族の記憶とかなり近いところにあった世代です。歴代知事の就任記録を見ても、沖縄県政は長くその世代によって担われてきました。
ところが古謝氏は1983年生まれ。
つまり、
「沖縄が日本に復帰したとき、まだ生まれていなかった」
わけです。
これは結構大きな違いだと思います。
もちろん、だからといって基地問題を軽視するとか、沖縄戦の歴史を知らなくていいという話ではありません。
むしろ逆です。
私たちの世代に必要なのは、
「経験した世代の記憶を受け継ぎながら、経験していない世代として未来を考える」
ことなんじゃないでしょうか。
私はここに、今回の選挙の一つの変化があるように感じます。
これまでの沖縄県政では、どうしても、
「基地問題をどうするか」
というテーマが県政の中心に置かれてきました。
もちろん、それは当然です。
沖縄には現在も大きな基地負担があります。
そして普天間基地、辺野古移設、米軍基地の騒音や事故など、県民生活に直結する問題もあります。
ただ、今回の古謝氏の選挙戦を見ていると、少し違った軸が見えてきます。
「基地問題を解決すれば沖縄が良くなる」ではなく、
「基地問題も含めて、沖縄をどう成長させるか」
という考え方です。
実際、古謝氏は辺野古移設を容認し、普天間飛行場を含む嘉手納より南の基地返還と跡地利用を進める立場を示しています。
一方で、県民所得倍増、子育て支援、観光消費倍増、新5K経済など、経済政策をかなり前面に出しています。
ここは非常に重要だと思います。
今回の選挙結果を、
「沖縄県民が保守になった」
と説明するのは簡単です。
実際、古謝氏は自民、公明、維新、国民、参政、日本保守など幅広い政党から推薦を受けています。
ただ、私はそれだけでは説明しきれないと思っています。
むしろ、
「沖縄県民が、県政に求めるものの優先順位を変えた」
という見方もできるのではないでしょうか。
基地問題が重要ではなくなったわけではない。
でも、
「基地問題だけを中心に県政を評価する時代ではなくなった」
ということです。
物価が上がる。
住宅価格も上がる。
土地価格も上がる。
観光客は増える。
外国人も増える。
一方で県民所得はなかなか伸びない。
子育てや教育にもお金がかかる。
こういう現実を毎日生きている県民からすれば、
「基地問題は大事。でも、それと同時に自分たちの生活をどうするの?」
という話になります。
ここは、私たち不動産業者から見ても非常に実感があります。
土地が高くなって、
「沖縄の不動産市場は好調です!」
と言われても、
その土地を買っている県民の生活が豊かになっているのか?
という問題は別です。
私は以前からこの部分をかなり気にしています。
ここも私は非常に注目しています。
今回、玉城県政を支えてきた人たちにとっては、かなり厳しい結果です。
ただ、ここで、
「負けたから終わり」
ではないと思います。
むしろ、ここからが重要です。
私はリベラル側の人たちにも、今後かなり頑張ってほしいと思っています。
ただし、
「選挙で負けたから、県民が間違っている」
という方向には行ってほしくない。
今回の選挙戦を見ていて、私が少し残念に感じたのは、ネット空間での発信です。
攻撃的というか、相手方の揚げ足を取るような主張が目立って、
「じゃあ、これからの沖縄をどうしていくのか?」
という建設的な意見が、あまり見えてこなかったように感じました。
もちろん、ネット上で目立つ意見が、そのまま選挙全体を表しているわけではありません。
でも、今の若い世代や無党派層が情報を得る場所の一つがネットであることを考えると、これは結構大きな問題だったんじゃないかなと思います。
今回、無党派層や若い世代の票が古謝さんに流れたと言われていますが、その要因の一つに、こうした「相手を批判すること」に偏った発信があったのではないでしょうか。
そして、これは若い世代だけの話でもないと思っています。
今回、旧来から玉城さんを支持していた高齢世代の中にも、
「前までは玉城さんだったけど……」
とか、
「反対ばかりしても前に進まないし」
というような意見が見られました。
つまり、これまで玉城県政を支持してきた人たちの中にも、
「今回はちょっと違うかな」
と感じた人が少なくなかったということです。
ここは、リベラル側にはぜひ考えてほしいところです。
特に私が気になったのは、
米軍統治下の沖縄を実際に知っていて、歴史的にも玉城県政に寄り添いやすいはずだった世代からも、古謝さんに票が入った
ということです。
これは単純に「若者が保守化した」という話ではありません。
むしろ、これまでの沖縄の政治を支えてきた世代の中にも、
「これからの沖縄を考えたときに、今回は別の選択をしてみよう」
と考えた人がいたということです。
ここを、
「県民が保守化した」
「ネットに騙された」
「政府の影響だ」
などと片付けてしまうと、今回の選挙から何も学べなくなってしまいます。
なぜ、これまで支持してくれていた人たちまで離れたのか。
なぜ、若い世代や無党派層に届かなかったのか。
なぜ、「反対すること」よりも「前に進めること」を求める人が増えたのか。
ここをしっかり考えてほしいと思います。
ただ、これは保守側にも同じことが言えます。
今回勝ったからといって、
「県民は全部こちら側になった」
と思った瞬間に、次の失敗が始まると思います。
今回の選挙で古謝さんに投票した人の中にも、
「自民党だから」
「保守だから」
という理由だけで投票した人ばかりではないでしょう。
「今までとは違う県政を見てみたい」
「経済を何とかしてほしい」
「生活を良くしてほしい」
「基地問題だけではなく、もっと沖縄全体のことを考えてほしい」
そういう期待を込めて一票を投じた人も多かったはずです。
だからこそ、古謝県政にはこれからが問われます。
そしてリベラル側にも、今回の敗北を単なる「保守勢力の勝利」として終わらせず、
「なぜ自分たちは選ばれなかったのか」
を考えてほしい。
私は、右と左がお互いに相手を否定し続けるより、
「あなたはこう考えるんですね。では、沖縄をこうしていくのはどうですか?」
という建設的な議論が増えていくことのほうが、これからの沖縄には必要なんじゃないかなと思っています。
私は政治的にはどちらかというと保守寄りの考え方ですが、沖縄県にとっては、リベラル側も必要だと思っています。
むしろ必要です。
基地問題について政府を厳しく追及する人。
環境問題を監視する人。
社会的弱者を守る人。
行政の暴走をチェックする人。
これらは民主主義にとって必要な役割です。
ただ、
「反対すること”だけ”」が目的になってしまうと弱い。
これからの沖縄のリベラルには、
「では、あなたならどうするの?」
という問いに答えてほしい。
基地問題についても、
「辺野古反対」
だけではなく、
「では普天間基地をどうするのか」
「米軍基地をどう縮小するのか」
「日米安保との関係をどう考えるのか」
「跡地利用をどうするのか」
まで具体的に語る。
経済についても、
「格差をなくそう」
だけではなく、
「どうやって企業の稼ぐ力を高めるのか」
「どうやって県民所得を上げるのか」
まで踏み込む。
そういう「現実的なリベラル」が出てくれば、沖縄県政はもっと面白くなると思います。
そして、ここはかなり大事です。
私は今回の結果を歓迎する部分もありますが、
古謝さんに白紙委任したつもりはありません。
423,124票という過去最多の得票は、かなり大きな期待の表れです。
だからこそ、期待が大きい分だけ、これから厳しく見られるでしょう。
特に「県民所得倍増」。
これは非常に分かりやすい言葉ですが、同時に非常に難しい目標です。
観光客を増やせばいい。
観光消費を増やせばいい。
というだけでは、県民の所得が倍になるわけではありません。
企業の生産性。
賃金。
教育。
人材。
交通インフラ。
土地価格。
住宅価格。
子育て。
外国人労働者。
観光公害。
民泊周辺地域のトラブル。
そして不動産価格。
いろんなものが絡みます。
古謝氏自身も、DX・AI、新5K経済、観光消費倍増などを掲げています。
これをどう現実に落とし込んでいくのか。
ここは不動産屋としても、かなり興味があります。
今回の選挙で私が一番感じたのは、ここです。
沖縄はこれから、
「戦争を経験した世代」から「戦争を直接経験していない世代」へ。
そして、
「米軍統治を経験した世代」から「日本復帰後に生まれた世代」へ。
政治の主役が移っていく。
これは避けられない流れです。
そして、これは歴史を忘れるということではありません。
むしろ、
「自分たちは経験していないからこそ、経験した人たちの話を聞いて、その上で自分たちの時代の答えを作る」
ということだと思います。
古謝さんは、その最初の知事です。
だから今回の選挙は、
「保守12年ぶりの復活」
というだけではなく、
「沖縄県政の世代交代を象徴する選挙」
だったのではないでしょうか。
そして私は、これからの沖縄を考える上で、
「保守かリベラルか」
という二択から、そろそろ一歩先へ進んでもいいんじゃないかと思っています。
基地問題は基地問題として考える。
経済は経済として考える。
教育は教育として考える。
子育ては子育てとして考える。
不動産は不動産として考える。
そして、それらを全部まとめて、
「20年後、30年後の沖縄をどうするのか」
を考える。
私たちの世代は、沖縄戦も米軍統治も経験していません。
だからこそ、過去を知る責任はある。
でも同時に、
過去だけを理由に未来を決める必要もない。
今回の知事選を、私はそんな「世代交代の始まり」として見ています。
古謝県政が本当に沖縄を「前に」進められるのか。
そして、今回敗れたリベラル側が、この結果をどう受け止め、どう変わっていくのか。
私はむしろ、ここからの沖縄政治のほうが面白くなるんじゃないかなと思っています。
不動産の仕事をしていると、政治や経済の変化は結局、土地や建物、そしてそこで暮らす人たちの生活に返ってきます。
これからの沖縄がどう変わっていくのか。
不動産屋としても、一県民としても、しっかり見ていきたいと思います。
では〜
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