不動産業界の
古い「枠」を取り壊して、
新しい「門」となる。
It will be a new "gate" by demolishing the old "frame" of the real estate industry.

BLOG
7月23日
2025
定期借地権付きのマンションの今後

こんにちは!
(株)REGATEの金城です。

 

先日のブログでも触れましたが、不動産業界の法定研修会に参加してきました。
テーマは「借地料の値上げに関する実践知識」

その話題の中で私がふと気になったのが、定期借地権付きマンションの“出口問題”でした。

研修会のテーマではあまり深く掘り下げませんでしたが、私の頭の中ではこの定借マンションの今後についての考察が止まりませんでしたので共有することにします。

 

かつては「土地は貸したら返ってこない」というのが常識とされていて、地主が泣き寝入りするしかなかった借地問題。

この旧借地権の問題が顕在化し借地に関する地主の救済という感じで、平成4年に借地借家法の制定があり、定期借地権という権利が誕生しました。

その流れで今回のテーマの定期借地権付きのマンションという商品が生まれることになります。

「定期借地権付きマンション」とは、
簡単にいうと**土地は地主さんから“期限付きで借りてる”**状態で、建物部分だけを所有するタイプのマンションのこと。

多くの借地マンションの借地契約期間は50年くらいで、バブル崩壊後の1990年代後半〜2000年代前半にかけて、都心部や地価の高いエリアを中心に建てられました。

 

土地を買わなくていい分、土地の固定資産税もかからず価格も手頃で
とりあえず買いやすい」「とりあえず手軽に資産を持つ手段」として注目された背景があります。

でも、その“とりあえず”の選択が、今になって現実的な判断を迫られてきている…というのが今の状況なんです。

 

法整備から30年以上が経過して築20~30年を超えてきた定借物件が増えている今、

**いよいよ“契約満了後どうなるのか”**

が現実の課題として出てきているんです。

 

 

 

1990年から2000年代に建てられた定借マンション。

築20年とか30年って、不動産的にはまだまだ使える年代です。

このくらいの築年数の家は住む分にも申し分ないし、そこまでリフォームにお金もかけなくて済むので、実際、今ならまだ「売却」も可能かもしれません。

 

ただ、正直なところ定借マンションの売り時はもう終わったんじゃないかな~というのが不動産仲介業者としての本音です。

 

なぜなら定借期間の残存期間が20年を切ると、話はガラッと変わるから。
まず、残存期間が短いと購入者の住宅ローンも通りづらくなり、売却もほとんどできなくなるというケースが予想されます。

沖縄に於いては不動産の価格は上がり続ける市場となっていますが、定借マンションの場合は先が見えている(解体期限がある)せいで価値が減損していく未来しかありません。

日々刻一刻と建物が残存できるタイムリミットが近づいてきます。

これを購入者の視点で見た時、ローンを組んで返済できる期間がどんどん短くなっているという事なんです。

短いローンを組むと毎月の返済が高くなるので、必然的に購入者は減っていきます。

 

そう。定借マンションの何より大きな課題は…

土地を返す=建物を解体しなきゃいけない

という事なんです。

 

この更地にするという事をもう一歩踏み込んで考えたら、前述の購入者が限られてしまうという問題以外にも問題点が浮かんできました。

 

定借の契約は「期限が来たら更地にして地主に返すこと」が原則です。

つまり、期限が来たらマンションを壊す必要があるということです。

 

じゃあ、誰がその解体費用を出すのか?ってなりますけど、

答えは…はい、そのマンションの住人たちです。

 

そりゃ借りていたなら返すときは更地にするのは当たり前でしょ?

って思いますよね?

 

でもこれ、想像以上に重たい話でして。。。

 

私の中ですぐに思いついたのが

 

「解体積立金、ちゃんと貯まってますか?」

 

という事。

 

 

法制定初期の頃の定借マンションの多くは、建設当初から解体積立金という制度が無い物件もあったり、あっても微々たる金額しか積み立てていないケースが多いと聞きます。

なにせ当初のこの定借マンションのテーマが

「土地代がかからない分、手ごろな物件」

という事だったので、修繕積立金や管理費に加えて解体積立金まで追加されちゃうと、手ごろ感が薄れてしまうという問題があったと思うんです。

だから建設当初のデベロッパーさんたちはたぶん、将来的に問題になることが分っていたけどこの解体積立金には目を瞑ったんじゃないかな~と穿った考え方しかしない私なんかは想像しちゃうんですw

 

実際、規模によって大小ありますが、ほとんどの物件で解体には数千万円以上はかかると見立てられていて、昨今は解体費用も爆上がり。

果たして建築当初の計画にあった「解体積立金」で足りるでしょうか?

築50年近くになってから急に「足りなくなったので一人あたりウン百万円出してください」と言われても、払えない人も多いと思うんです。

 

あと、もう一つの問題点が見落とされがちです。

解体するっていう事は、住民は新たな住まいを確保しないといけないという事も必ず問題になると思います。

 

普通に考えてマンションを購入するときは働き盛りの20代や30代の若い夫婦。

んで50年経って解体するときは確実に高齢者になっているので、そうなると新たな物件購入は難しいし、なんなら賃貸の契約をするのも一苦労だと思います。

 

老後の生活のためにも蓄えは必要なのに、解体積立金は高くなるし引っ越し先は見つからない。さあどうしよう。。。

 

定借マンションの未来はそんな踏んだり蹴ったりな状態になった住民が溢れちゃうんじゃなかろうか。。。という事を想像するのは武藤滑稽な事ではないと思います。

 

では今のうちに売ってしまうというのが少しでも傷を浅くする手段かと思われがちですが、さっきも言ったように残存期間が限られている物件は価値が低くなるので、残債をペイできる金額で売ることができるのか?という問題も出てきます。

手出しをしてまで自宅を売りたいという人は少ないし、そもそも手出しするだけの貯えがないという人の方が多い。

更には自分が買った時よりも大幅に値下がりしてしまうという現実を受け止められない人もたくさんいます。

・・・期限が迫ってくる定借マンションの売却って難しいんです。

 

 

そこで実需の売却が難しいなら投資用でどうよ?という点も考えてみました。

 

これも結論をいうとやっぱり明るい答えは出てきませんでした。

投資物件として購入する人にとっては「次の住まい問題」は解決できますが、「解体積立金の問題」は避けられません。

そして投資物件として買う人は利回りで物件価格を計算するので、

残存期間が減っていく物件=運用期間が短くなっていく物件

になります。

運用期間が短いという事は投資コストを回収する期間が短いという事。

そこに解体積立金という出費も加算されてしまう。。。

そうなるとやはり安い価格でしか取引が成立しないという事になります。

 

こうやって考えれば考えるほど定借マンションの問題って闇が深いなって思った次第です。。。

 

 

 

さて、長々といろいろ妄想しましたが、これを書いている2025年は、まだ定借マンションの解体が問題になる年代ではありません。

ただ、確実に借地権を解消するために解体をしないといけない時期は近づいてきています。

定借マンションにお住まいの人はその時に解体積立金の問題や、引っ越し先の確保などでバタバタしないように備えないといけませんね。

 

今回は定借マンションの今後について考えてみました。

では~

 

 

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