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コラム
土地は誰のもの?その先にある「借地権」という不思議な権利
金城 貴士
株式会社REGATE 金城 貴士
2026年06月25日 10:21

こんにちは~。
株式会社REGATEの金城です。

前回は、

「土地って本当は誰のもの?」

「人間はなぜ土地を欲しがるのか?」

という所有権の存在について少し哲学的なお話を書きました。

今回はその続きです。

不動産の世界には、所有権と並んで昔から存在する不思議な権利があります。

それが

「借地権」

です。


そもそも借地権って何?

簡単に言えば、

土地は他人のもの。借りている土地。貸している土地。です。

で、その土地の上に自分の建物を建てて使う権利。

土地を貸して建物を建てさせて賃料を貰う権利。

です。


この制度、現代の視点で考えると不思議ですよね。

土地はAさんのもの。

建物はBさんのもの。

しかもBさんは何十年も住み続けられる。

場合によっては世代を超えて引き継がれる。

土地と建物の所有者が違うというのは私たち不動産屋には当たり前の光景ですが、所有権の戸建てやマンションしか知らない方からすると、なかなか馴染みのない権利だと思います。


実は海外の人から見ても、日本の借地制度は少し特殊な部分があります。


借地権はなぜ生まれたのか

この制度のルーツはかなり古いです。

江戸時代にも似たような仕組みが存在していました。

なぜかというと、

世の中には昔から

土地を持つ人

土地を使いたい人

がいました。

例えば農地。

地主は土地を持っている。けど広すぎて自分で耕すにはしんどい。

農民は土地を耕して家族を養いたい。けど耕す土地が無い。

そこで

地主が土地を貸す。

農民が利用料を払う。

農民も働くなら農地の近くに住みたいので、空いた部分に家を建てて生活を始める。

こうして土地を貸す人と借りる人という関係が自然に生まれていったのだと思います。

 

つまり借地権は、所有権と同じく、

法律家が机の上で考えた制度ではなく、

人々の生活の中から生まれた制度とも言えるのです。


実は借地権は経済合理的だった

今の感覚だと、

「土地ごと買えばいいじゃないか」

と思う人も多いかもしれません。

しかし昔はそう簡単ではありません。

土地を買うには大きなお金が必要です。

でも住む場所や商売をする場所は必要です。

そこで、

土地は借りる。

建物だけ自分で建てる。

という形が広く利用されました。


これは現在でいう

リース

サブスク

賃貸

にも近い考え方です。

つまり借地権は、

所有権を持てない人のためだけの制度ではなく、

社会全体の経済活動を支える仕組みだったのです。


なぜ「土地は貸すな」と言われるのか

不動産業界では昔から

「土地は貸すな」

と言われます。

私も業界に入った頃から何度も聞きました。

なぜでしょうか。

理由は簡単です。

日本の借地権は非常に強いからです。


現在の借地借家法は、

基本的に借地人保護の考え方が強くなっています。

これは戦後の住宅不足が大きく影響しています。

もし地主が自由に土地の借地契約の契約解除ができたら、

借地人は家を失います。

生活基盤も失います。

借地人を追い出してしまうと大量の住宅困窮者が発生する。

戦後の日本にその受け皿はありませんでした。

そこで法律は地主の権利よりも、

住む人の生活を守る方向へ大きく舵を切ったのです。

ここから

「地主<借主」

の強力な借地権が生まれました。

結果として、

地主から見ると

一度貸したら返ってこない。

土地は絶対に貸すな。

そんな感覚が生まれたのです。


地主の悩み

また、借地権が設定された土地は、

一般的に市場価値が下がります。

売却しにくい。

担保評価も下がる。

自由に利用できない。

相続で揉めやすい。←これは令和の今でも悩みの種です。

しかも借地人が建物を所有しているため、

地主の一存で契約を終わらせることも難しい。

借地借家法で強力に保護されている借地人に有利な状況。

そして戦後に設定した借地料が今の相場から見ると安すぎるにもかかわらず、値上げ交渉も簡単ではありません。

だから地主の立場から見ると、

借地権はかなり重たい負担になります。


では借地人は得なのか?

実はそうとも言えません。

一般の人は

「借地人は守られている」

というイメージを持っています。

確かに法律上は保護されています。

しかし実務では多くの制約があります。


建替えの問題。

増改築の問題。

譲渡の問題。

承諾料の問題。

更新料の問題。


さらに金融機関の評価も所有権より低くなります。

地主と同じく借地人も相続でも揉めます。

建替えや大規模修繕に地主の承諾が必要なケースも多く、

子ども世代からすると、

「古い借地権付き住宅を相続したい」

という人は少ないです。

さらに古くなった建物を解体して更地にして返還する義務を負う契約も多くあります。

 

古い立て替えもできない物件を相続して、しばらくしたらウン百万という解体費用が発生する。

では解体費用が払えない人はどうするか?

ずっと借地料を払い続けて建物が朽ちてても放置するしかない。

結果として問題が先送りされるケースもあります。

この問題の先送りという負のループが子の代、孫の代にのしかかります。

つまり借地人も完全に自由ではありません。


面白いのは誰も幸せそうに見えないこと

ここが借地権最大の謎かもしれませんw

地主は不自由。

借地人も不自由。

売買もしづらい。

融資も弱い。

みんな相続の時に嫌がる。。。

実際、不動産業界で借地権付き物件を積極的に探している人は多くありません。

地主も嫌がる。

借地人も悩む。

相続人も困る。

それでも100年以上続いている制度なんです。


私は、

借地権が

「所有」と「利用」を分離した制度だから

だと思っています。

土地を持つ人。

土地を使う人。

本来は別でも社会は成立する。

むしろ歴史的には、

その方が普通だった時代の方が長いのかもしれません。


所有権は本当に必要なのか

前回の記事で、

土地は誰のものなのか。

という話をしました。

借地権はさらに面白い問いを投げかけます。

土地を所有することに価値があるのか。

それとも、

その土地を利用できることに価値があるのか。

借地権という制度を調べれば調べるほど思うのは、

これは土地の制度というより、

「所有」と「利用」をどう分けるかという人間社会の知恵だったのかもしれません。

ただ、その知恵も100年以上使い続けるうちに様々な歪みが生まれてきました。

こんなに問題だらけで誰も得をしないように見える借地権。

こうした長年の問題に対して、国も何もしなかったわけではありません。

そこで生まれたのが

「定期借地権」

という新しい考え方です。


長くなったので今日はこの辺で。

次回はさらに話を進めて、

「定期借地権はなぜ生まれたのか?」

そして

「定借マンションは本当にお得なのか?」

について考えてみたいと思います。


では~。

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この記事を書いた人
株式会社REGATE 金城 貴士

沖縄県南部地域の不動産売買に関する事を思うままに書いています。
お孫さんの代までお付き合いできる不動産屋さんとして「紹介率No1」を目指します。
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