◆不動産と借金について
こんにちは。
㈱REGATEの金城です。
本日のコラムテーマ
不動産実務~離婚と仮処分~
です。
以前にも不動産と離婚を取り挙げた記事があります。
お時間がある方は読んでみてください。
不動産の実務をやっていると切っても切れないモノがあります。
「借金」
呼び方はそれぞれで住宅ローンや事業用ローン、軍用地ローンという名前にも変化します。
でも、借金は借金。
上手く付き合う人はいいけど、、
中にはどうもこの借金に関して考えが緩い人がいます。
この借金の形がおかしくなって離婚をする人も多くいらっしゃいます。
今日はこの借金が理由で離婚に発展したお客様との思い出を語ります。(笑)
不動産の実務をやっている人はケーススタディとして読んでみてください。
※約5分で読めます。
◆売却済みの土地のすぐ近く
○○市の海が近い平坦地。
相続の相談から売却に繋がった案件でした。
当時はコロナも無く沖縄のリゾート物件は軒並みバブル状態。
結構な田舎の土地で近隣の取引事例など参考になるものが少なく、
売却査定をするにも手探り状態。
参考価格をはじき出し、売主さんの意向も含めての売却価格決定。
幸いなことに売り出しをしてすぐに買い手がつきました。
問い合わせも多く二番手も付く状態でした。
あまりにも早く売れたので
「少し安かった?」
という疑念は残しつつも売主さんも喜んでくれているので万事OK。
引き渡し決済を終え安堵していたところ
この売却物件の道向かいの土地の地主から電話が・・・
「いい電話な気がする!」
すぐさま対応して面談を取り付けたところ予感は的中♪
「売り出されているのを見ていて気になっていた。
あの価格で売れるなら私の土地も売ってほしい。」
との事。
——————————-
不動産屋あるあるですが
一度売却調査をした土地の周辺は売りやすくなります。
理由として
・担当者がそのエリアの調査を終え熟知している事
・販売中に来た問い合わせの客層を把握
・現地案内などの際に周辺状況も熟知
というプラス要因が重なる事で
「一度売った物件の近隣物件は絶対売れる」
という確信も持てるんですよね。
——————————-
自信満々に
「買いたい人もいますしすぐに売れます!安心してください!」
と返事をして早速調査へ。
いくら道向かいとはいえ、実際に登記簿謄本を取り寄せ調査をしないといけません。
(道向かいの行政区が違っていて都市計画が全く違うという事もよくあるので。。。)
役所調査を順当に終え、以前に売却した土地と同等の条件で売れると確信。
登記簿には抵当権などの債務も無し。
前に問い合わせを貰ったけど二番手になってしまったお客様にあてがえは直ぐに契約できそう♪
意気揚々と調査を終え、売主さんの売却の最終確認のために媒介契約書を作成し再面談。
順風満帆に思えたのですが何事もそう簡単に進みませんでした。。。
◆Aさんの隠し事
今回の売主はAさん。
昔は教員をしていて教頭先生まで勤め上げたそうです。
今回売りたいという土地は20年以上前に相続で取得した土地。
Aさんは少し離れたところにローンを完済した戸建てを所有していて土地を利用する予定も無し。
一人息子も東京で所帯を持ち、帰ってくる見込みもない。
教員だったこともあり手厚い年金暮らしをできているが、
不要な不動産は処分をしておきたい。
息子も土地や不動産は要らないと言っている。
ここまではありがちな売却理由です。
そのままヒアリングを進めていると
奥さんは少し前に出ていって離婚協議中。
金銭関係で揉めての熟年離婚という事。。。
とにかく早く売買を進めて現金化を急いでほしいという感じで“焦り”が見え隠れ。。。
私はこの時に
「?」
と疑問を持ちました。
不動産の売却理由に熟年離婚はよくあります。
子育てを終えた奥さんが旦那さんに愛想をつかして出ていくという定番の熟年離婚もあるし、
仕事を終えて夫婦の時間が増えることによる家庭不和もよくあります。
Aさんの理由は家庭不和ではあっても「金銭関係」という事がネックらしい、、、
現段階で現金化を急ぐ理由がよく分かりません。
普通ならスルーしそうな感じでしたが、なぜか私には深く引っ掛かるものがありました。
Aさんは持ち家のローンも完済していて共済年金も受け取れる公務員上がり。
普通の人よりも多くの年金を受け取れるのに金銭関係で揉めて離婚??
見た感じ金遣いが荒いような身なりをしているわけでも無いし、車も古いカローラ。。。
私は謄本には記載されていない債務があるんだと目星を付けました。
Aさんの気を悪くしないように慎重にヒアリングを続行。
不動産屋って気になることをスルーしてしまうと取り返しがつかないミスにつながることが多いんです。
そのせいか不動産屋独特の嗅覚が過敏になっていて、気になることはとことん調べるという癖がついてしまっています。
今回もAさんに気を使いながら周辺の人間関係を聞き出し「気になる点」を浮き彫りにしていくことに・・・
(たまに取り調べをしているような錯覚に陥ることもw)
一時間ほど話を聞いて人間関係と金銭関係の問題の内訳を聞き出すことに成功。
私の悪い予想はおおむねビンゴ♪
定年退職後に昔ながらの教え子にそそのかされて資産運用に手を出した。
FXか先物か暗号通貨かは教えてくれませんでしたが、その類であることは間違いなさそう。
運用は順調に滑り出したが徐々に雲行きが怪しくなり追証を重ねるように・・・
よくありがちな定年後の資産運用アドバイス(詐欺?)に順調に引っ掛かったという感じですね。
直ぐに退職金はそこを尽き、毎月の年金もあてがう始末。
奥さんに内緒で始めたのでバレてからが大変。。。
言い訳もできずに取り返しがつかなくなったとのこと。
ここまでの状況をまとめると
——————–
買い手さんはほぼ決まっている。
恩師を騙す悪い教え子がいる(笑)
騙されるAさんが悪い。
愛想をつかした奥さんと離婚協議中。
——————–
という感じです・・・
Aさんは売買を早く急いでくれと懇願しましたが、
私は一度立ち止まって奥さんとも話をする機会を設けました。。。
◆財産分与と仮処分
登場人物のどちらかに感情が偏ると売買は上手くまとめきれません。
という事でできるだけ感情移入をせずに物事を分解して考えてみました。
※後日奥さんとも別個で面談をしたので、それらを踏まえての結果をまとめます。
まず離婚を理由として不動産を売却するという相談を受けた時に必ずチェックすることに
「財産分与の協議」があります。
婚姻中の資産は
夫婦共有の財産として折半することが基本
となっていて、そこに慰謝料や諸々の事情を勘案して財産の取り分を変えていく作業が必要です。
不倫や浮気が原因で離婚する時はされた相手方に慰謝料として財産を持っていかれることが多いです。
借金やローンがある場合はそれらの債務を弁済してから余った分を夫婦で分けます。
DVなどが理由の場合、奥さんや旦那さんが
「離婚さえできれば財産は要らない」と言って分与をしないケースもよくあります。
この分割協議の折り合いがつかずにいつまでも離婚できないご夫婦もいます。。。
今回のケースでは分与できる財産を考えた時に少し厄介なものがありました。
Aさんが多額の資金を投下した
「投資の運用資金」です。
現段階ではマイナスと評価されていてどんどん追証を支払う状況。
奥さんとしては失ってしまった退職金も含めて財産分与に加算する意向。。。
原則は減った分も共有財産ですが、奥さんはそれでは納得できないとご立腹。
このマイナスになった資産をどこで切るかが重要ですが、Aさんは損切をしたくないという意向。
追証の支払いのために土地を売りたいという考えが強い事が判明。
典型的な投資の落とし穴にハマっています。。。
(投資というよりギャンブル・・・)
離婚をする奥さんからすると勝手に投資して失敗したのに、土地を売ったお金で更に追証を払うのは到底納得できない。
まずはこの資産運用をやめない事には財産分与の協議もまとまりそうにありません。
離婚をすることが確定している状態で、夫婦共有の財産を片方が一方的に処分する行為は禁止されています。
案の定、奥さんが先回りをして家庭裁判所に「処分禁止の仮処分を申し立て」を予定している事も判明。
Aさんはそれを察知して差し押さえされる前に売却をしたいという事で動き出したそうです。
Aさんに投資をやめさせて(損切を決心させて)、
土地と自宅を売却させて、
今までの損失を含めて奥様との離婚協議をまとめる事が最優先の仕事になりました。。。
◆頑固なAさんを説得できず・・・
教頭先生まで勤め上げたAさんはなかなか頑固。。。
しまいには
「お前のような不動産屋に何が分かる!」
「投資はまだまだ始めたばかり!」
「今から値上がりする可能性の方が高い!」
「私は今まで何人も優秀な生徒を教えて有名な大学に送り出した!」
「不動産屋は売れと言われたら売ればいい。余計なことに口を出すな!」
と激昂する始末・・・
その優秀な教え子に人生めちゃくちゃにされていますよ。。。と心の中でつぶやきました。
もうこうなったら我々不動産屋の出る幕はありません。
買主がほぼ決まっている状態でもあったので、この事実を知りながらも仮処分の登記をされる前に引き渡し決済をすることはできると思います。
でも売買契約を無理やりまとめたところで、買主さんにもご迷惑をかける可能性が高い。
仮処分禁止の登記と売買の所有権移転登記の早い者勝ちの勝負になりますが、そんな一か八かの勝負に買主さんを巻き込むわけにはいきません。
何よりも事情を知った私が善意の第三者では無くなるし、買主さんにこれを告げないのは道義上NGな事は間違いないですし・・・
という至極まともな事を理由として並べていますが
「こんなわからずやの教頭の力になりたくない」
という私の本音でこのお話をお断りしました。。。
今回のケースは抵当権の無い隠れた債務に気が付けたパターンです。
Aさんのいう事だけを鵜呑みにして売買を進めていたら
引き渡しの時までにいきなり
「処分禁止の仮処分登記」
をされていたかもしれません。
Aさんに手付金を渡してしまったらすぐに追証に使っていたことも想像に容易いです。
処分禁止の仮処分のせいで売買をストップ、若しくはAさんの債務不履行で解除をできていたとしても
Aさんから手付金を回収できたかどうか・・・
そのまま進めていた場合は仲介をする不動産屋に事実を話さなかったAさんが悪いのか、
そこまでの事情を察知できなかった仲介業者に責任が行くのか?
ま、どっちも悪くて買主さんに迷惑がかかる可能性は100%ですね・・・
事前に察知することで面倒なトラブルに巻き込まれるのを回避できたケースでした。
気が付かずに話を進めてしまってたら、後のトラブル処理に多大な時間を費やすことになった事でしょう。
当初のヒアリングから奥さんとの話し合いまでに結構な時間をかけてしまって結局お金にはなりませんでしたが、
何かといい勉強をさせてもらったと思って感謝しています(笑)
ちなみにこの物件を通りかかった時には既に新築の物件が建っていて、ご自宅も「売り物件」の看板が出ていました。
恐らく離婚と財産分与がまとまったんでしょうね。
不動産仲介をやっているといろんな人に出会えます。
不動産の売り買いを仲介するだけではなく、
トラブルのない売買を成立させる事
が私たちプロの仕事だと自負しています。
また、トラブルが無い取引を実現するために
まず最初に「信用と信頼」が築けないといい取引はできません。
頭が固くなって横暴な態度で食ってかかると不動産屋さんは協力しなくなりますよ。
これからは不動産屋さんにやさしくしてあげてください(笑)
これはどの業種にも言えることですね。
謙虚って大事です。
心優しい不動産屋さんはここにいます(笑)
ご相談お待ちしています~
では~
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